たまにある虚偽申請ですが、特定建設業許可を維持したいばかりに、実際は負債を抱えているにもかかわらず決算書を改ざんし黒字で利益が溜まっているように見せかけるものです。

先日秋田県でもあったようですが、実際には16億の債務超過を、11億の純資産があるようにしていたとのこと。

なんと27億円の差額。

それまでよくばれずに過ごしてきたなと思います。

秋田県ではかなりの上位ランクに格付けされており、相当な額の公共工事をやってきたでしょうから、一般建設業許可にすることは受注の道も閉ざされてしまい、引くに引けなかったのでしょう。

CIICではまだ経営事項審査の結果が掲載されていたので、その会社の情報を見ると確かに純資産12億円近く。

でも、支払利息が多かったり、利益がほとんど出てなかったり、キャッシュも残ってなかったり、かなり苦しそうな財務状況だったというのは分かります。

結局なんでバレてしまったか、ですが、秋田県に会社分割をしようとして相談しに行ったところ、発覚したとのこと。

おそらくそのときにまともな決算書を見せてしまったのでしょう。

売上自体が30億円近く、技術者も50人程度記載されているので、それ以外の職員も相当いたでしょう。

虚偽申請により建設業許可は取り消し、取締役は全員5年間欠格となるため、この会社は確実に倒産ですし、他の会社を作って復活ということすらできません。

従業員さんや数多くいたであろう下請業者さんがこういったケースでは一番の被害者になります。

公共工事を取り続けないと死活問題になる、ということからこういう決算書、財務諸表の改ざんをして特定建設業許可を維持する、または経営事項審査申請の点数を上げておくということは昔からよくありました。

行政も虚偽の申請を防ぐためいろんな書類を持ってこさせて確認を取りますが、税務署に出す決算書すら改ざんされてしまうと確認の取りようがないこともあります。

だいぶ前ですが僕が経験したのもそうでした。

ある行政書士が亡くなったということで、他の行政書士に頼みたいと紹介をいただきました。

会社に行って見せられたのが決算書2種類。

一つは税務署にも出している正しいもの。

もう一つは、経審の点数を上げるためのでっちあげのもの。

前の行政書士がずっと監修していてくれたので、代わりにやって欲しいという相談でした。

かれこれ15年はやってきたということなので、全く違う会社のような内容で、もちろん経審用のものは超優良会社に見えるものです。

正しいものはほぼ利益が出ていない。

あきれてスグにお断りしましたが、こういったことに加担している行政書士もいるんだなと思いましたし、残念な気持ちになったことを覚えています。

僕らは正直にやっている業者さんが戦えるようにサポートできるよう頑張らないといけませんね。

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