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建設業許可が取れないケース。欠格要件、誠実性

欠格要件、不誠実で建設業不許可になってしまう

・最近まで刑務所に入ってた
・人を殴って傷害の罰金刑になった
・今執行猶予中だ
などという人は建設業許可を取得できません

建設業許可に特に重要な要件、経営業務管理責任者専任技術者というのがクリアできればもう大丈夫であることが大半なんですが、逆にこれに当てはまってしまうと、いくら他の条件をクリアできていても建設業許可は取得できないというものがあるんです。

それは、

誠実性がない

というのと

欠格要件

です。

欠格というのはまさしくこれに当てはまってしまう場合はダメ、ということで分かりやすいんですが、誠実性っていうのがちょっと分かりにくいと思います。

それぞれについて下で解説していきますね。

目次
1.誠実性とは?
2.欠格要件とは?
3.誰が該当していたらダメなのか?

1.誠実性ってなに?

建設業法では、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者の場合は建設業許可を出しません、ということが書いてあるのですが、非常に分かりにくいですね。

要は、誠実な人でないと建設業許可は出しません!ということが書かれているのですが、理想のタイプを誠実な人っていうぐらい全く具体的ではないですよね。

法律では具体的に誠実というのが決められていて不正とか不誠実な行為をしないということで、

不正な行為というのが、『請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等法律に違反する行為』

不誠実な行為というのが、『工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為』

のことをいいます。

そんなこと通常はする訳ないので問題ないのですが、こういうことをするだろうと認定されてしまっている人がいます。

それが、

○建築士法、宅建取引業法など他の法律でで不正、不誠実な行為をしたことで免許等を取り消されてから5年経過していない者

○暴力団関係者

となっています。

これらの方は誠実性がない、とされ建設業許可を取ることができません。

2.欠格要件に該当する場合

さて次は欠格要件に該当する場合に建設業許可を取ることができなくなるのですが、欠格要件は先ほどの誠実性よりももっと具体的に決められていますので、どういったものか解説していきますね。

(1)許可申請書とか添付書類の中の重要事項でウソを書いたり、重要な事実をわざと書かなかったりした場合。

(2)次のいずれかに該当してしまう場合
a.成年被後見人もしくは被保佐人または破産者(下に解説があります。)
b.不正の手段で許可を受けたことがばれて許可取り消しになった、または営業停止処分に違反して許可取り消しになった者
c.許可取り消し処分を免れるため廃業届を提出し、その届出から5年経過していない者
d.許可取り消し処分を免れるため廃業届を提出した事業者で、許可取り消し処分の聴聞通知の前60日以内に当該法人の役員とか政令で定める使用人であった者、個人の使用人であった者で、その廃業届の日から5年経過していない者
e.営業停止を命じられて、その停止の期間が経過していない者
f.営業禁止されて、その禁止期間が経過していない者
g.禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わってから、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過していない者(執行猶予と仮釈放について下に別途解説してあります。)
h.建設業法とか刑法など一定の法律に違反して罰金刑になって5年経過していない者
i.暴力団員や暴力団員でなくなってから5年経過していない者
j.未成年が役員等になっている場合その法定代理人が上記に当てはまる者
k.暴力団員がその事業活動を支配する者

となります。

この中でもわりと見かけるものと、全く見たことがないものとがありますので、主なものを説明していきたいと思います。

○わりと見かけるパターン

(1)許可申請書でウソを書いたり、重要事項を書かなかったりしたケース

これはわざとやる、というよりも、知らずにそうしてしまったケースが多いです。

事例1.実際には傷害で罰金刑になってしまっているにもかかわらず、略歴書の賞罰を『なし』と書いてしまっていた。

これは同情してあげたくなるようなケースですね。

無事新規で許可を取得し、5年経過したときに更新の許可申請をされた業者さんがおられました。

特に何も考えずに更新申請をしたのですが、実際にはその会社の取締役の一人が暴力事件を起こしてしまっていて、罰金刑が確定していました。

そんなことも完全に忘れてしまっていて、更新申請書で略歴書に『賞罰なし』と書いてしまい、それがウソを書いたという認定をされ、建設業許可が取り消されました。

元々傷害や暴行での罰金は建設業許可が取り消されるのですが、ウソを書いた、虚偽申請をしたということによっての取消処分を食らってしまうと、5年間その会社も、そのとき取締役だった人も全員欠格要件に該当してしまいます。

そうすると、上記(2)b.のパターンに該当することになります。
ですので、原因となった人を外したところで他の人もダメということになりますので、建設業許可が5年間取得できないという最悪のケースですね。

事例2.他社で宅建の専任の取引士として勤務していたのに、それを書いてなくてそれを重要事項を書いていないと判断されてしまった。

実際に勤務していたらさすがに忘れないと思いますが、その方が取引士の資格を持っているため『名義貸し』をしてしまったことがあるんです。

そんなこともすっかり忘れていたその方が自分のために建設業許可を取得しようとして、そんな経歴を一切書かずに申請したところ、ウソをついた、とされてしまい許可が取り消されたということですね。

おそらく簡単に考えて名義を貸してあげたんでしょうけれども、高くついてしまったというケースです。

(2)g.の禁固刑以上に処せられて5年経っていない、執行猶予中である。

まだ禁固や懲役から5年経過していないというケースですね。

注意しないといけないのは、仮釈放から5年ではないということなんです。

禁固や懲役が実際に判決で出て、刑期が満了する前に釈放されることもあると思いますが、そこから5年経過ではなく、きちんと刑期が満了してから5年で考えなければなりません。

執行猶予中もダメなのですが、執行猶予の場合は、執行猶予期間が終わりさえすればすぐに大丈夫になります。

(2)h.建設業法や一定の法律に違反して罰金刑になってしまい、5年経過していない。

これで一番多いのは傷害罪で罰金刑になってしまっているというパターンですね。

先ほど(1)の事例1でも書きましたが、傷害罪で罰金刑になっているパターンが結構多くあります。

業界的にカッとなって暴力をふるってしまい、というイメージも失礼ながらありますが、変な従業員にしびれを切らしてしまってつい叩いてしまった、変な業者にしつこく絡まれつい殴ってしまった、
という不運でしかないようなケースもありました。

示談しようとしても相手がしてくれなくて、罰金刑になってしまったり、
そんな相手と逆に示談するぐらいなら国に罰金を払うということであえて罰金刑を選んだような方もおられました。

結局このようなちょっと不運なケースであっても傷害で罰金刑になってしまった以上は欠格要件に該当してしまい、5年間は建設業許可を取得できません。

建設業法に違反したから、というのは分かりやすいのですが、刑法のうちでも傷害、暴行、脅迫、背任、現場助勢、凶器準備集合及び結集などの違反をすると罰金刑以上が確定したときに欠格要件に該当して建設業許可を取得できなくなるんです。

まあ脅迫以降のはなかなか聞きませんが、傷害というのはわりと起こりやすいケースですね。

※一定の法律とは下記の法律が当てはまります。

建設業法、建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

刑法のうち第204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条(暴行)、第208条の3(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)、第247条(背任)の罪

暴力行為等処罰に関する法律

ですので、例えば窃盗などで罰金刑になっていたとしても欠格要件には該当しないことになりますね。

i.暴力団員や暴力団員でなくなってから5年経過していない者
k.暴力団員がその事業活動を支配する者

誠実性の部分でもそうですが暴力団がらみについては当然対応は厳しいです。

建設業許可申請書は警察にも回り、照会がかけられますから暴力団員がいる場合はダメとなります。

実際に暴力団員が所属していなくても暴力団員が影で操っている場合もダメとなります。

具体的には暴力団員の奥さんが社長を務めているが、実際には夫である暴力団員が裏で実権を握っているというケースなんかが欠格要件に該当してしまいますね。

○心配されることが多いけれどもあまり該当しないパターン

よく心配されるのは(2)a.のパターンで破産しているという部分です。

実際に一度会社を倒産させてしまい、そのときに会社の破産と同時に自己破産もしたということが気がかりでご相談いただくことが多いです。

相談の際には、『今は借入もできないし、クレジットカードも作れないんです。』ということをおっしゃられ、いわゆるブラックリストに載ってしまっているということで心配されているのですが、そこは全く関係ありません。

たいてい自己破産をされても通常すぐに『免責』になると思います。

そうなるともう破産者ではありませんので、建設業許可取得に関して問題はなくなるんです。

ですから、過去に破産したことがあったり、現状ブラックであったりということは全く関係なく、免責さえされていれば欠格要件には該当しませんので安心してください。

○その他のパターンは今までの私たちの経験では特に聞いたことはありません。

建設業法上で取消処分などを受けている場合は、ご自身が良く認識されているのでご相談などにもお見えにならないのかなと思っています。

3.誰が該当していたら建設業許可が取れないのか?取締役?従業員も?

誠実性とか欠格要件とか解説してみましたが、それでは実際に誰がそういう状況に該当してしまったらダメなのでしょうか?

個人の場合は代表者、営業所の所長、支配人が該当してしまってはいけません。

法人の場合は、取締役、営業所の所長、が該当してしまうと建設業許可が取得できません。
※監査役は該当していても問題ありません。

今は、相談役、顧問、法人の場合には5%以上を出資している株主、についても該当してしまうと建設業許可が取得できません。
以前では取締役から退けば大丈夫であったのですが、中小企業などはオーナー社長の場合は大株主ですからそこも引っかかるようになりました。

それでも逆に言えば、個人でも法人でもただの従業員であれば問題ありません。

だから、欠格要件に該当していても専任技術者にはなることができるんですね。

経営業務管理責任者は取締役等でなければなりませんから、該当している場合は建設業許可取得できませんね。

 
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マスコミ掲載歴

令和6年9月4日建通新聞

令和6年6月25日建通新聞
平成30年11月5日フジサンケイビジネスアイ
平成26年2月18日建通新聞
平成22年3月8日建通新聞

表彰歴

平成23年5月25日 大阪府庁の建設業許可相談コーナー相談員としての感謝状

平成20年6月19日 日本行政書士会連合会からの表彰

平成17年5月27日 大阪府行政書士会からの表彰

代表プロフィール

行政書士山口修一
昭和47年2月2日生

平成12年10月に開業以来、建設業許可、経営事項審査(経審)の申請をし、建設業者のサポートをしてまいりました。お気軽にお問い合わせ下さい。

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