建設業許可のうち電気工事業を取得したい方へ
電気工事業とは、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を
設置する工事のことをいいます。
実際の工事内容としては発電設備工事、送配電線工事、引き込み線工事、変電設備工事、
構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、
ネオン装置工事などが挙げられています。
電源、配線、照明、太陽光発電関係は全て電気工事に当てはまってきますね。
ただ、太陽光関係は少し紛らわしいところがあるのですが、屋根一体型の
太陽光パネル設置工事は『屋根工事』に当てはまります。
どんな材料であっても、屋根ふきをしている工事であればそれは全て屋根工事になりますので、
屋根材と一体型の太陽光パネルであれば屋根工事に当てはまってくるわけです。
ただ、通常よくある、屋根の上に太陽光発電パネルを設置する工事は電気工事
になり、その場合屋根等の止水処理を行う工事も含まれてきます。
また、他にも紛らわしいのが機械器具設置工事です。
機械器具設置工事には広く全ての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具
の種類によっては例えば電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事等
と重複してしまいます。
これらについては原則として電気工事等それぞれの専門の工事に
区分されるものとして、上記のいずれにも該当しない機械器具や、複合的な
機械器具の設置の場合には、機械器具設置工事に該当することになります。
分かりにくいですねぇ・・。
とにかく、エアコンとか空調関係なら管工事、スプリンクラー関係なら消防施設工事、と例示されている
場合は専門の工事で、どこにも例示されていないものが機械器具設置工事になることが多いですね。
欲しい資格者は?
経営業務管理責任者の条件を満たしている方が
おられるという前提があればですが、
電気工事業の場合は下記の資格者がいる場合、許可を取得することは可能になります。
下記の資格があれば電気工事業の専任技術者になることができるからです。
※ちなみに、電気工事業で経営業務管理責任者の条件を満たすのは、電気工事業そのものを
5年以上経営していたか、電気工事業以外の建設業を6年以上経営していたか、
というのが基本になります。
該当する資格は
1級電気工事施工管理技士
2級電気工事施工管理技士
技術士:建設・総合技術監理(建設)
技術士:建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造物及びコンクリート」)
技術士:電気電子・総合技術監理(電気電子)
第1種電気工事士
第2種電気工事士+免許交付後3年間の実務経験
電気主任技術者(1種・2種・3種)+免許交付後5年間の実務経験
建築設備士+資格取得後1年間の実務経験
一級計装士+合格後1年間の実務経験
です。
これらのうち、1級電気工事施工管理技士、技術士のいずれかで
あれば特定建設業許可の専任技術者になることもできます。
※元請で受注して、なおかつ下請に対して総額4000万円以上の工事を発注する場合には
特定建設業許可が必要になります。(金額は税込みです。)
資格がない場合でも電気工事業の許可が取得できるのか?
電気工事の場合は、他の工事業種と違って特殊な部分があります。
通常では、経営業務管理責任者という条件を
満たしている方がおられるという前提があれば、基本的には10年以上の実務経験を積んでいる場合、
資格の代わりとなりますので、許可取得が可能になります。
建設業法ではそのように決められているのですが、電気工事に関しては
別に電気工事士法という法律があり、その法律で決められているのが
電気工事士でなければ、電気工事をやってはいけないということなんです。
都道府県によっては、この法律をもとに、電気工事の実務経験を認めていないという
ところがあります。
結局そうなると、電気工事施工管理技士、電気工事士などの資格がなければ申請できない
ということになってしまいますね。
ただ、家庭用電化製品の販売に付随する電気工事は電気工事士でなくてもできる工事
とされていますし、実際の配線作業じゃなくても監理等も実務経験として認められるはずですから、
実務経験を認めている県もあります。
その場合は、他の業種と同様で10年の経験で資格者の代わりなります。
また、電気工学または電気通信工学に関する学科を卒業されている場合、
高校であれば5年、大学であれば3年の実務経験で済むことになります。
※専門学校卒業の場合も認められています。
高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、
それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となりました。
電気工事については電気工事士をお持ちの方が自社や自営で経験していたということで
証明するケースが多いのですが
その場合は、たいていの都道府県庁などから要求される証拠としては、過去の契約書、
注文書、または請求書控えとその入金が分かる通帳など、となります。
1年に1件ずつでいい県、10年分以上毎月に渡って必要になる県、いろいろですから、
本店がどの都道府県に所在しているかでも結構難易度が変わってきます。
電気工事業の建設業許可を取得したい人からよくある質問
Q.自社での経験を証明する場合にはどんな書類が必要ですか?
またその場合はどの程度の件数が必要ですか?
A.注文書や契約書があればいいのですが、無い場合は請求書の控えと
それに対応する入金額が分かる通帳というのが、たいていどこの都道府県でも言われることです。
どれだけの件数を揃えなければならないか、都道府県によってかなり違ってきます。
例えば、大阪府の場合は工事と工事の間隔が1年以上開かないようにする、兵庫県、奈良県は
季節あたり1件ずつ程度、京都府は1年に1件ずつ、
東京都は毎月ずっと携わっていることが分かるように、埼玉県も同様、
神奈川県、千葉県は1年に1件ずつ、となっています。
Q.他社での実務経験があるのですが、ハンコをもらえそうにありません。
どうしたらいいですか?
A.都道府県によって扱いが違います。大阪の場合は実印が基本ですので、
ハンコがないのは無理となります。
一方、東京の場合は過去に年金記録で会社に在籍していたことが分かれば、
印鑑をもらえなくても大丈夫です。
Q.登録電気工事の申請は済んでいますが、電気工事の建設業許可を取得した場合
どうすればいいのですか?
A.建設業許可を取得した場合は、もともと登録されていた登録電気工事を廃業し、
みなし登録という形で建設業許可取得後に申請する必要があります。
第二種電気工事士の資格で登録していた場合、再度3年以上の
実務経験証明書も添付する必要があります。
Q.電気工事の許可を持っている場合、他の工事が含まれていても問題ないのですか?
A.電気工事だけを請け負ったとしても、例えばついでに他の業種である、
管工事や電気通信工事なんかもついでにされるケースは当然あると思います。
ついでに他の業種の工事を請け負うことは、建設業法上なんら問題ありません。
ただし、複数工事が含まれた工事の場合、電気工事の内訳が一番金額が多い
というのが基本になります。
例えば、電気工事300万円、管工事200万円、電気通信工事150万円の
合計650万円の工事を請け負った場合、メインとしては電気工事と考えられますから、
合計650万円の電気工事を請け負ったと考えて問題ありません。
この場合は、電気工事業の許可が必要になり、管工事や電気通信工事の許可があっても
電気工事業の許可がないと建設業法違反になってしまいます。
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