建設業許可のうち管工事業を取得したい方へ
管工事とは、冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛星等のための
設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気を送配するための
設備を設置する工事のことをいいます。
そのように書くとイメージできませんが、具体的には冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、
空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、
水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事などがあります。
これでもわかりにくいですが、名前の通りでガス管、水道管にかかわらず
配管の関係や、エアコン設置など空調関係は管工事に当てはまってきます。
他の業種と間違えそうなものや考え方については以下のように
決められています。
「冷暖房設備工事」「冷凍冷蔵設備工事」「空気調和設備工事」には、
冷媒の配管工事などフロン類の漏洩を防止する工事が含まれています。
●し尿処理に関する施設の建設工事における『管工事』、『水道施設工事』、
『清掃施設工事」それぞれの間の区分の考え方は、以下の通りとなります。
管工事に該当する場合:規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む)
によりし尿を処理する施設の建設工事
水道施設工事に該当する場合:公共団体が設置するもので
下水道により収集された汚水を処理する施設の建設工事
清掃施設工事に該当する場合:公共団体が設置するもので
汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事
また、他にも紛らわしいのが機械器具設置工事です。
機械器具設置工事には広く全ての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具
の種類によっては例えば電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事等
と重複してしまいます。
これらについては原則として電気工事等それぞれの専門の工事に
区分されるものとして、上記のいずれにも該当しない機械器具や、複合的な
機械器具の設置の場合には、機械器具設置工事に該当することになります。
分かりにくいですねぇ・・。
とにかく、エアコンとか建物内に通常の空調機器を設置する工事なら管工事、
スプリンクラー関係なら消防施設工事、と例示されている場合は専門の工事で、
どこにも例示されていないものが機械器具設置工事になることが多いですね。
それに比べて、トンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事は
機械器具設置工事業に該当します。
●上下水道に関する施設の建設工事における『管工事』、『土木一式工事』、『水道施設工事』、
それぞれの間の区分の考え方は、以下の通りとなります。
管工事に該当する場合:家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び
上下水道等の配水小管を設置する建設工事
土木一式工事に該当する場合:公道下等の下水道の
配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事
水道施設工事に該当する場合:上下水道等の取水、浄水、
配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事
なお、農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事は水道施設工事ではなく
土木一式工事に該当します。
あと、公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、
それぞれの公害防止施設ごとに、例えば排水処理施設であれば管工事、
集じん施設であれば機械器具設置工事等に区分すべきかと判断されます。
欲しい資格者は?
経営業務管理責任者の条件を満たしている方が
おられるという前提があればですが、
管工事業の場合は下記の資格者がいる場合、許可を取得することは可能になります。
下記の資格があれば管工事業の専任技術者になることができるからです。
※ちなみに、管工事業で経営業務管理責任者の条件を満たすのは、管工事業を
5年以上経営していたか、管工事業以外の建設業を6年以上経営していたか、
というのが基本になります。
該当する資格は
1級管工事施工管理技士
2級管工事施工管理技士
技術士:機械「流体工学」または「熱工学」・総合技術監理(機械「流体工学」または「熱工学」)
技術士:上下水道・総合技術監理(上下水道)
技術士:上下水道「上下水道及び工業用水道」・総合技術監理(上下水道「上下水道及び工業用水道」)
技術士:衛生工学・総合技術監理(衛生工学)
技術士:衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」)
技術士:衛生工学「廃棄物管理」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理」)
給水装置工事主任技術者+免状交付後1年以上の実務経験
技能検定の1級冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管
技能検定の2級冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管+合格後3年以上の実務経験
技能検定の1級給排水衛生設備配管
技能検定の2級給排水衛生設備配管+合格後3年以上の実務経験
技能検定の1級配管(選択科目:建築配管作業)・配管工
技能検定の2級配管(選択科目:建築配管作業)・配管工+合格後3年間の実務経験
建築設備士+資格取得後1年以上の実務経験
一級計装士+合格後1年以上の実務経験
です。
これらのうち、1級管工事施工管理技士、技術士のいずれかで
あれば特定建設業許可の専任技術者になることもできます。
※元請で受注して、なおかつ下請に対して総額4000万円以上の工事を発注する場合には
特定建設業許可が必要になります。(金額は税込みです。)
資格がない場合でも管工事業の許可が取得できるのか?
上記の資格の場合と同様で、経営業務管理責任者という条件を
満たしている方がおられるという前提ですが、
基本的には10年以上の実務経験を積んでいる場合、資格の代わりとなりますので、
管工事業の許可取得が可能になります。
さらに、学歴によって10年が5年や3年に短縮もされます。
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、
建築学、機械工学、都市工学または
衛生工学に関する学科を卒業されている場合、
高校であれば5年、大学であれば3年の実務経験で済むことになります。
※専門学校卒業の場合も認められています。
高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、
それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となりました。
管工事については自社でずっと経験してきたということで証明するケースが多いのですが
その場合は、たいていの都道府県庁などから要求される証拠としては、過去の契約書、
注文書、または請求書控えとその入金が分かる通帳など、となります。
1年に1件ずつでいい県、10年分以上毎月に渡って必要になる県、いろいろですから、
本店がどの都道府県に所在しているかでも結構難易度が変わってきます。
管工事業の建設業許可を取得したい人からよくある質問
Q.自社での経験を証明する場合にはどんな書類が必要ですか?
またその場合はどの程度の件数が必要ですか?
A.注文書や契約書があればいいのですが、無い場合は請求書の控えと
それに対応する入金額が分かる通帳というのが、たいていどこの都道府県でも言われることです。
どれだけの件数を揃えなければならないか、都道府県によってかなり違ってきます。
例えば、大阪府の場合は工事と工事の間隔が1年以上開かないようにする、兵庫県、奈良県は
季節あたり1件ずつ程度、京都府は1年に1件ずつ、
東京都は毎月ずっと携わっていることが分かるように、埼玉県も同様、
神奈川県、千葉県は1年に1件ずつ、となっています。
Q.他社での実務経験があるのですが、ハンコをもらえそうにありません。
どうしたらいいですか?
A.都道府県によって扱いが違います。大阪の場合は実印が基本ですので、
ハンコがないのは無理となります。
一方、東京の場合は過去に年金記録で会社に在籍していたことが分かれば、
印鑑をもらえなくても大丈夫です。
Q.管工事の許可を持っている場合、他の工事が含まれていても問題ないのですか?
A.管工事だけを請け負ったとしても、例えばついでに他の業種である、
内装工事や電気工事なんかもついでにされるケースは当然あると思います。
ついでに他の業種の工事を請け負うことは、建設業法上なんら問題ありません。
ただし、複数工事が含まれた工事の場合、管工事の内訳が一番金額が多い
というのが基本になります。
例えば、管工事300万円、内装工事160万円、電気工事150万円の
合計610万円の工事を請け負った場合、メインとしては管工事と考えられますから、
合計610万円の管工事を請け負ったと考えて問題ありません。
この場合は、管工事業の許可が必要になり、内装工事や電気工事の許可があっても
管工事業の許可がないと建設業法違反になってしまいます。
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