建設業許可のうち左官工事業を取得したい方へ
左官工事業とは、工作物に壁土、モルタル、漆喰、プラスター、繊維等をこて塗り、吹き付け、
または貼り付ける工事のことを言います。
例としては、左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹き付け工事、
とぎ出し工事、洗い出し工事などが挙げられます。
こて塗りをしている作業は確かに左官工事というのが分かりやすいですが、防水モルタルを用いた
防水工事は、左官工事業でも防水工事業でもどちらの業種の許可でも施工ができます。
モルタル仕上げのための下地金網を張る『ラス張り工事』や同じくモルタル仕上げのために
石膏ボードで壁を作る『乾式壁工事』については、左官工事を行うための準備作業として当然
含まれていると考えられています。
また、一口に『吹き付け工事』といっても左官工事に当てはまるものと、
とび・土工・コンクリート工事に当てはまるものがあります。
『左官工事』における吹き付け工事とは、建築物に対するモルタル等を吹き付ける工事をいい、
『とび・土工・コンクリート工事』における吹き付け工事とは法面処理等のためにモルタル又は種子を
吹き付ける工事のことを言います。
工法としては全く同じことをしていても対象物が変わるだけで工事の種別も変わって
しまうわけですね。
欲しい資格者は?
経営業務管理責任者の条件を満たしている方が
おられるという前提があればですが、
左官工事業の場合は下記の資格者がいる場合、許可を取得することは可能になります。
下記の資格があれば左官工事業の専任技術者になることができるからです。
※ちなみに、左官工事で経営業務管理責任者の条件を満たすのは、左官工事を
5年以上経営していたか、左官工事以外の建設業を6年以上経営していたか、
というのが基本になります。
該当する資格は
1級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士(仕上げ)
技能検定の『1級左官』
技能検定の『2級左官』+合格後3年間の実務経験
です。
これらのうち、1級建築施工管理技士であれば
特定建設業許可の専任技術者になることもできます。
※元請で受注して、なおかつ下請に対して総額4000万円以上の工事を発注する場合には
特定建設業許可が必要になります。(金額は税込みです。)
また、2級建築施工管理技士ですが、建築、躯体、仕上げという3種類に
分かれていますが、このうちの仕上げでなければ左官工事業の専任技術者にはなることができません。
※2級建築施工管理技士の合格証ですが、特に何も書いていなければですが、『建築』です。
躯体、仕上げの場合は、カッコ書きで明記されています。
資格がない場合でも左官工事業の許可が取得できるのか?
上記の資格の場合と同様で、経営業務管理責任者という条件を
満たしている方がおられるという前提ですが、
基本的には10年以上の実務経験を積んでいる場合、資格の代わりとなりますので、
左官工事業の許可取得が可能になります。
さらに、学歴によって10年が5年や3年に短縮もされます。
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、
または建築学に関する学科を卒業されている場合、
高校であれば5年、大学であれば3年の実務経験で済むことになります。
※専門学校卒業の場合も認められています。
高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、
それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となりました。
左官工事の場合は自社で経験していたということで証明されるケースが多いと思います。
たたき上げの職人さんが独立してずっと経営されてきたケースが多いですね。
となると、たいてい都道府県庁などから要求される証拠としては、過去の契約書、
注文書、または請求書控えとその入金が分かる通帳など、となります。
1年に1件ずつでいい県、10年分以上毎月に渡って必要になる県、いろいろですから、
本店がどの都道府県に所在しているかでも結構難易度が変わってきます。
左官工事業の建設業許可を取得したい人からよくある質問
Q.自社での経験を証明する場合にはどんな書類が必要ですか?
またその場合はどの程度の件数が必要ですか?
A.注文書や契約書があればいいのですが、無い場合は請求書の控えと
それに対応する入金額が分かる通帳というのが、たいていどこの都道府県でも言われることです。
どれだけの件数を揃えなければならないか、都道府県によってかなり違ってきます。
例えば、大阪府の場合は工事と工事の間隔が1年以上開かないようにする、兵庫県、奈良県は
季節あたり1件ずつ程度、京都府は1年に1件ずつ、
東京都は毎月ずっと携わっていることが分かるように、埼玉県も同様、
神奈川県、千葉県は1年に1件ずつ、となっています。
Q.他社での実務経験があるのですが、ハンコをもらえそうにありません。
どうしたらいいですか?
A.都道府県によって扱いが違います。大阪の場合は実印が基本ですので、
ハンコがないのは無理となります。
一方、東京の場合は過去に年金記録で会社に在籍していたことが分かれば、
印鑑をもらえなくても大丈夫です。
Q.左官工事の許可を持っている場合、他の工事が含まれていても問題ないのですか?
A.左官工事だけを請け負ったとしても、ついでに大工工事や、とび土工工事などもされるケースは
当然あると思います。
ついでに他の業種の工事を請け負うことは、建設業法上問題ありません。
ただし、複数工事が含まれた工事の場合、左官工事の内訳が一番金額が多い
というのが基本になります。
例えば、左官工事300万円、大工工事200万円、とび土工工事200万円の合計700万円
の工事を請け負った場合、メインとしては左官工事が考えられますから、合計700万円の左官工事を
請け負ったと考えて問題ありません。
この場合は、左官工事業の許可が必要になり、大工工事やとび土工工事の許可があっても
左官工事業の許可がないと建設業法違反になってしまいます。
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