建設業許可のうち鉄筋工事業を取得したい方へ
鉄筋工事とは、棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、または組立てる工事のことをいいます。
と、わざわざ書いてしまうとどうしても難しく感じてしまいますが、鉄筋工事という名称で
分かりやすいとは思います。
鉄筋加工組立工事、鉄筋継手工事などというのが細かい名称として例示されていはいますが・・
鉄筋工事は『鉄筋加工組立て工事』と『鉄筋継手工事』から成り立っていまして、
『鉄筋加工組立て工事』は鉄筋の配筋と組み立て、『鉄筋継手工事』は配筋された鉄筋を接合する工事です。
鉄筋継手にはガス圧接継手、溶接継手、機械式継手等があります。
鉄筋工事に関しては他の工事とあまり似通っていないと思いますので、
他工事と間違えるようなことはあまりないと思います。
欲しい資格者は?
経営業務管理責任者の条件を満たしている方が
おられるという前提があればですが、
鉄筋工事業の場合は下記の資格者がいる場合、
建設業許可を取得することは可能になります。
下記の資格があれば鉄筋工事業の専任技術者に
なることができるからです。
※ちなみに、鉄筋工事業で経営業務管理責任者の条件を満たすのは、
鉄筋工事業を5年以上経営していたか、鉄筋工事業以外の
建設業を6年以上経営していたか、というのが基本になります。
該当する資格は
1級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士(躯体)
技能検定の1級鉄筋組立て・鉄筋施工(選択科目「鉄筋施工図作成作業」及び「鉄筋組立て作業」)
技能検定の2級鉄筋組立て・鉄筋施工(選択科目「鉄筋施工図作成作業」及び「鉄筋組立て作業」)+合格後3年以上の実務経験
です。
これらのうち、1級建築施工管理技士であれば
特定建設業許可の専任技術者になることもできます。
※元請で受注して、なおかつ下請に対して総額4000万円以上の工事を発注する場合には
特定建設業許可が必要になります。(金額は税込みです。)
また、2級建築施工管理技士については、建築、躯体、仕上げという
それぞれ3種類に分かれていますが、このうちの躯体でなければ鉄筋工事業の
専任技術者にはなることができません。
※2級建築施工管理技士の合格証には、特に何も書いていなければ『建築』で、躯体、仕上げの場合は、
カッコ書きで明記されています。
資格がない場合でも鉄筋工事業の許可が取得できるのか?
上記の資格の場合と同様で、経営業務管理責任者という条件を
満たしている方がおられるという前提ですが、
基本的には10年以上の実務経験を積んでいる場合、資格の代わりとなりますので、
鉄筋工事業の許可取得が可能になります。
さらに、学歴によって10年が5年や3年に短縮もされます。
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、
建築学または機械工学に関する学科を卒業されている場合、
高校であれば5年、大学であれば3年の実務経験で済むことになります。
※専門学校卒業の場合も認められています。
高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、
それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となりました。
鉄筋工事については自社でずっと経験してきたということで
証明するケースが多いのですが
その場合は、たいていの都道府県庁などから要求される証拠としては、過去の契約書、
注文書、または請求書控えとその入金が分かる通帳など、となります。
1年に1件ずつでいい県、10年分以上毎月に渡って必要になる県、いろいろですから、
本店がどの都道府県に所在しているかでも結構難易度が変わってきます。
鉄筋工事業の建設業許可を取得したい人からよくある質問
Q.自社での経験を証明する場合にはどんな書類が必要ですか?
またその場合はどの程度の件数が必要ですか?
A.注文書や契約書があればいいのですが、無い場合は請求書の控えと
それに対応する入金額が分かる通帳というのが、たいていどこの都道府県でも言われることです。
どれだけの件数を揃えなければならないか、都道府県によってかなり違ってきます。
例えば、大阪府の場合は工事と工事の間隔が1年以上開かないようにする、兵庫県、奈良県は
季節あたり1件ずつ程度、京都府は1年に1件ずつ、
東京都は毎月ずっと携わっていることが分かるように、埼玉県も同様、
神奈川県、千葉県は1年に1件ずつ、となっています。
Q.他社での実務経験があるのですが、ハンコをもらえそうにありません。
どうしたらいいですか?
A.都道府県によって扱いが違います。大阪の場合は実印が基本ですので、
ハンコがないのは無理となります。
一方、東京の場合は過去に年金記録で会社に在籍していたことが分かれば、
印鑑をもらえなくても大丈夫です。
Q.鉄筋工事の許可を持っている場合、他の工事が含まれていても
問題ないのですか?
A.鉄筋工事を請け負ったとしても、例えば同じ工事でついでに他の業種である、
とび土工工事、鋼構造物工事なんかもついでにされるケースは当然あると思います。
ついでに他の業種の工事を請け負うことは、建設業法上なんら問題ありません。
ただし、複数工事が含まれた工事の場合、鉄筋工事の内訳が一番金額が多い
というのが基本になります。
例えば、鉄筋工事300万円、鋼構造物工事200万円、とび土工工事150万円の
合計650万円の工事を請け負った場合、メインとして鉄筋工事と考えられますから、
合計650万円の鉄筋工事を請け負ったと考えて問題ありません。
この場合は、鉄筋工事業の建設業許可が必要になり、鋼構造物工事やとび土工工事の
建設業許可があっても鉄筋工事業の建設業許可がないと建設業法違反になってしまいます。
関連ページ:他の29業種の建設工事の解説を見てみる
前ページ:鋼構造物工事の解説を見てみる
次ページ:舗装工事についての解説を見てみる