大阪での建設業許可について
大阪府内に営業所があり、複数営業所がない、あっても大阪府内のみ、または他府県に営業所があってもその営業所では建設業の営業、工事の契約や見積をしない場合、大阪府の知事許可を取得することになります。
ここからは実際に私たちがご相談を受けてどのように許可取得まで持ち込んでいるのかを具体的に解説したいと思います。
ただ、読んでも分かりにくい部分が非常に多いと思いますので、微妙なところは自分で判断せずに是非お電話ください。一瞬で解決することがありますので。
目次
1.建設業の経営の経験があるか
1-1.過去経営実績の証拠は?
1-2.補佐経験の場合は?
2.技術者がいるかどうか
3.営業できる事務所があるか
4.財産要件
5.欠格要件
まずは最難関の条件の確認です。
ここがクリアできなければ建設業許可を取得することはできません。
正式名称としては経営業務管理責任者(略して経管)というものです。
新たに申請するのが会社の場合は常勤の取締役の1人、個人の場合なら事業主か支配人が経営業務管理責任者に該当しなければなりません。
建設業は29業種に分かれていますが、取りたい建設業の業種であれば5年間以上、取りたい業種とは別の業種であれば6年間以上経営をしていたという経験が要求されます。
※勤務経験ではありません。あくまで経営をした経験となりますので取締役や個人事業主などとしての経験が必要です。
※6年以上の建設業の経営経験があれば、どんな業種であっても経営業務管理責任者になれるということですね。
ここまでは法律で決まっていますので日本全国どこでも同じなのですが、都道府県で違ってくるのが、証拠書類です。
いくら建設業を経営したということを自分で言ったとしても証拠がなければ認めようがありません。
●過去の経験が会社の取締役の場合で
A)なおかつその会社が建設業許可を持っていた場合
下記丸印の書類のどちらかが必要です。
○建設業許可通知書(5年とか6年など取締役だった期間を網羅する分)
または、
○決算変更届(5年とか6年など取締役だった期間を網羅する分)
B)その会社が建設業許可を持っていなかった場合
下記丸印のものが全てが必要になります。
○決算書・確定申告書一式(5年とか6年など取締役だった期間を網羅する分)
○経管になる方が掲載されている役員報酬欄(報酬額が低すぎて非常勤となっている場合は認められません。)
○上記と同じ期間の工事請負契約書、注文書または請求書の控え(工事の間隔が1年以上開かないように)
C) A)、B)いずれの場合にも共通で必要になるもの
○登記簿謄本・閉鎖役員欄(証明する年数の分を全て)
※申請する会社とは別会社で過去の経験を積んだ場合はその別会社の印鑑を証明書に押してもらう必要があります。(印鑑証明書までは要りません。)
●過去の経験が個人事業の場合で
A)その個人事業で建設業許可を持っていた場合
下記丸印の書類のどちらかが必要です。
○建設業許可通知書(個人事業主だった期間を網羅する分)
または、
○決算変更届を5年とか6年とか必要な年数分
B)その個人事業で建設業許可を持っていなかった場合
下記の丸印の分全てが必要になります。
○決算書・確定申告書一式(5年とか6年とかの年数分)
○上記と同じ期間の工事請負契約書、注文書または請求書の控え
(工事の間隔が1年以上開かないように)
※その個人事業のまま建設業許可を申請する場合以外は個人の印鑑証明書が必要。
※上記B)の場合は決算書の中を確認され、売上が少なすぎるなどの場合は工事実績がなかったとして経験年数からは削除されてしまいます。
経営業務管理責任者は上記のように個人事業主や会社の取締役でなくても、それら経営者のすぐ下のポジションで経営者を補佐していた経験でも認めてもらえる場合があります。
この補佐経験の場合は6年以上でなおかつ、経験した業種のみ経管になることができます。
例えば、過去塗装工事に関して6年以上補佐経験をしたことがある場合、塗装工事についてだけ経管になることができます。
何十年も塗装工事の補佐経験をやったとしても、防水工事の経管にはなることができません。
補佐経験は例外的な扱いとしてあまり認めてくれないところが多いのですが、大阪府では下記の必要書類が揃えば基本的にはきちんと認めてくれます。
大阪府でこの補佐経験を証明する場合に必要になるものは以下の通りです。
●補佐経験をしたのが会社の場合で、
A)その会社が建設業許可を持っていた場合
下記丸印の書類のどちらかが必要です。
○建設業許可通知書(補佐をしていた期間を網羅する分)
または、
○決算変更届(補佐をしていた期間を網羅する分)
B)その会社が建設業許可を持っていなかった場合
下記丸印の二つともが必要です
○決算書・確定申告書一式(補佐をしていた期間を網羅する分)
○上記と同じ期間の工事請負契約書、注文書または請求書の控え(工事の間隔が1年以上開かないように)
C) A)、B)いずれの場合にも共通で必要になるもの
下記丸印の三つともが必要です
○当時の組織図
○補佐経験をしていた会社の印鑑証明書(証明書に実印を押印してもらう必要があります。)
○補佐経験をした方の、年金記録照会回答票または雇用保険被保険者離職票(まだ勤務中の場合は雇用保険被保険者証でもOK)
●補佐経験をしたのが個人事業主の下で、の場合
A)その個人事業主が建設業許可を持っていた場合
下記丸印のいずれかが必要です
○建設業許可通知書(補佐をしていた期間6年以上を網羅する分)
または、
○決算変更届(補佐をしていた期間6年以上を網羅する分)
B)個人事業で建設業許可を持っていなかった場合
下記丸印の二つともが必要です
○決算書・確定申告書一式(補佐をしていた期間6年以上を網羅する分))
○上記と同じ期間の工事請負契約書、注文書または請求書の控え(工事の間隔が1年以上開かないように)
C) 上記A)、B)いずれの場合にも共通で必要になるもの
下記の二つともが必要です
○その個人事業主の方の印鑑証明書(証明書に実印を押印してもらう必要があります。)
○補佐経験をした方の下記のいずれか
・年金記録照会回答票・雇用保険被保険者離職票・まだ勤務中の場合は雇用保険被保険者証でもOK・証明してくれる個人事業主の補佐期間の事業専従者欄または給料賃金内訳欄を補佐期間の年数分(そこに補佐した方の名前が載っていないとダメ)
※個人、法人のいずれであっても補佐経験の場合は、それぞれC)の書類が揃わないと認めてもらえません。
ただそれでも他府県に比べるときちんと書類が揃えさえすれば認めてもらいやすいのが大阪の特徴です。
上記1.の経営業務管理責任者(経管)の次に難関の条件です。
資格や実務経験を持った技術者(専任技術者と言います)
こちらの表に記載された資格を持っている場合は資格者証を見せるだけでOKですので全く問題ありませんが、問題になるのは実務経験があるということで証明する場合ですね。
指定学科を卒業している場合は大卒なら3年、高卒なら5年、の期間を証明すればいいのですが、それ以外の場合は10年間経験したということで証明をしなければなりません。
●過去の勤務先が建設業許可を持っていた場合
○決算変更届
○建設業許可申請書内の実務経験証明書
などのいずれか
※要は証明してもらう期間(3年、5年、10年など)に勤務先で経験を積んだ工事が分かる申請書類の控えが必要になります。
●過去の勤務先が建設業許可を持っていなかった場合
○工事契約書
○注文書
○請求書控え
などのいずれか
※証明してもらう期間(3年、5年、10年など)に勤務先で経験を積んだ工事が分かる書類の控え工事の間隔が1年以上開かなければ連続した期間でOKとされます。
営業所・事務所として使用するということで契約している事務所なら問題ありません。
問題になりやすいのは、自宅を営業所としている場合で、代表の所有物件とかではなく賃貸契約をしている場合です。
おそらくその場合は『住居専用』ということで賃貸契約されていると思いますが、事務所として使用する旨の承諾書などを貸主からもらっておく必要があります。
公団など公営住宅ではたいてい承諾をもらえないことが多いため、他に営業所として事務所を借りる必要が出てきますね。
自宅が代表者の持ち物というケースも良くありますが、これは問題ありません。会社の代表者の自宅であっても同じく大丈夫でしょう。
ただし、事務所として写真を撮影し添付する必要があります。ポスト等に社名が必要ですし、事務所内部はリビングの一角とかでも構いませんが、机や電話、コピー機、パソコンなど事務用機器があることが望ましいです。
こちらは一般建設業許可を取るのか、特定建設業許可を取るのかで大きく変わってきますが、圧倒的に多い一般建設業許可について説明します。
500万円以上を資金調達できるということを証明しないといけませんが、次のA,B2通りのいずれかであればクリアできます。
A.申請者名義の銀行口座の500万円以上の残高証明書(残高日が申請する日の4週間以内のもの)※残高日が同じ日であれば複数口座でも構いませんし、定期、普通など口座の種類も何でも構いません。また、お金の出所なども一切問われません。
B.申請の直前の決算で自己資本額が500万円以上あること。
※法人の場合は、貸借対照表の純資産の額をいいます。※個人の場合は、下記の計算をして500万円以上になっていること。貸借対照表の中の(期首資本金+事業主借+事業主利益-事業主貸+引当金+準備金)
取締役、個人事業主、支配人などが欠格要件にかかっていなければ問題ありません。
※従業員であれば欠格要件にかかっていても問題ありませんので。
ざっと以上のような条件になります。
このようにまとめて書いてもかなりわかりにくいとは思いますし、自分の場合はどうなるのかなどなかなか判断しにくいと思いますので、ちょっとでもご不明な点があればご自分で判断せずに無料の電話相談をいただければお答えいたします。
大阪府の場合は近隣の府県に比べても基準が明確で、無理かなというケースでも対応ができる場合が多いので、あきらめずにご相談ください。