建設業許可のうち機械器具設置工事業を取得したい方へ
機械器具設置工事とは、機械器具の組み立て等により工作物を建設し、
または工作物に機械器具を取り付ける工事のことをいいます。
イメージはわきにくいですが具体的には、プラント設備工事、運搬機器設置工事、
内燃力発電設備工事、集塵機器設備工事、給排気機器設置工事、楊排水機器設置工事、
ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、
立体駐車場設備工事などがあります。
機械器具設置工事には広く全ての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、
機械器具の種類によっては例えば電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事等
と重複してしまいます。
これらについては原則として電気工事、管工事等
それぞれの専門の工事に区分されるものとして、上記のいずれにも該当しない機械器具や、
複合的な機械器具の設置の場合には、機械器具設置工事に該当することになります。
これでもわかりにくいですが、結局、複雑な機械、据え付けに技術を要したり、
電気だけでなく、配管、など据付に複数の工事がかかわる場合が機械器具設置工事に
当てはまってきます。
また、上の例で出てきた『運搬機器設置工事』は具体的にはベルトコンベアの設置など
が該当しますが、昇降機(エレベーター)設置工事も含まれます。
次に、『給排気機器設置工事』とはトンネル、地下道等の給排気用に設置される
機械器具に関する工事で、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は
『機械器具設置工事』ではなく、管工事になります。
あと、公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく
それぞれの公害防止施設の種類で判断します。
例えば、排水処理設備の場合は管工事、集じん設備であれば
機械器具設置工事と区分されます。
欲しい資格者は?
経営業務管理責任者の条件を満たしている方が
おられるという前提があればですが、
機械器具設置工事業の場合は、他の工事と違って専任技術者になることができる
資格が非常に限定されてしまいます。
※ちなみに、機械器具設置工事業で経営業務管理責任者の条件を満たすのは、
機械器具設置工事業を5年以上経営していたか、機械器具設置工事業以外の建設業を
6年以上経営していたか、というのが基本になります。
該当する資格は下記の技術士しかありません。
技術士:機械・総合技術監理(機械)
技術士:機械「流体工学」または「熱工学」・総合技術監理(機械「流体工学」または「熱工学」)
です。
これらは両方とも特定建設業許可の専任技術者になることもできます。
※元請で受注して、なおかつ下請に対して総額4000万円以上の工事を発注する場合には
特定建設業許可が必要になります。(金額は税込みです。)
他の工事業と比べて異常に資格が少ないというのが、この機械器具設置工事業の
難しくて、取得しにくい要因の一つです。
技術士の資格をお持ちの方というのはほぼいらっしゃいません。
大手ゼネコンではおられると思いますが、それでもほんの少数ですね。
では、資格がない場合でも機械器具設置工事業の許可が取得できるのか?
上記の資格の場合と同様で、経営業務管理責任者という条件を
満たしている方がおられるという前提ですが、
基本的には10年以上の実務経験を積んでいる場合、資格の代わりとなりますので、
機械器具設置工事業の許可取得が可能になります。
さらに、学歴によって10年が5年や3年に短縮もされます。
建築学、機械工学または電気工学
に関する学科を卒業されている場合、
高校であれば5年、大学であれば3年の実務経験で済むことになります。
※専門学校卒業の場合も認められています。
高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、
それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となりました。
使える資格が実質ないものですから、機械器具設置工事については自社で
ずっと経験してきたということで証明するケースが多いのですが
その場合は、たいていの都道府県庁などから要求される証拠としては、過去の契約書、
注文書、または請求書控えとその入金が分かる通帳など、となります。
1年に1件ずつでいい県、10年分以上毎月に渡って必要になる県、いろいろですから、
本店がどの都道府県に所在しているかでも結構難易度が変わってきます。
機械器具設置工事業の建設業許可を取得したい人からよくある質問
Q.自社での経験を証明する場合にはどんな書類が必要ですか?
またその場合はどの程度の件数が必要ですか?
A.注文書や契約書があればいいのですが、無い場合は請求書の控えと
それに対応する入金額が分かる通帳というのが、たいていどこの都道府県でも言われることです。
どれだけの件数を揃えなければならないか、都道府県によってかなり違ってきます。
例えば、大阪府の場合は工事と工事の間隔が1年以上開かないようにする、兵庫県、奈良県は
季節あたり1件ずつ程度、京都府は1年に1件ずつ、
東京都は毎月ずっと携わっていることが分かるように、埼玉県も同様、
神奈川県、千葉県は1年に1件ずつ、となっています。
Q.他社での実務経験があるのですが、ハンコをもらえそうにありません。
どうしたらいいですか?
A.都道府県によって扱いが違います。大阪の場合は実印が基本ですので、
ハンコがないのは無理となります。
一方、東京の場合は過去に年金記録で会社に在籍していたことが分かれば、
印鑑をもらえなくても大丈夫です。
Q.機械メーカーですが、設置工事が建設業許可が必要なものだとは知らずに
過去にずっと工事をやってきてしまいました。
設置はあくまでもサービスのようなもので、設置にかかる費用は少ないのですが
それでも許可は必要ですか?
A.建設業の場合、材料代金も含めた金額が工事代金になります。
ですから、機械器具設置工事の場合は、機械代金も含めた額が500万円(税込)を
超える場合建設業許可が必要になってしまいます。
おそらく機械代金が相当高いものが多いと思いますので、知らず知らずに
建設業法違反をしてしまっているケースがかなり多くあると思います。
過去の経験として、建設業許可がなかったときの証拠を提出することで
経験を証明することが多いのですが、その際に違反している状態のものを提出はできませんし、
あまりにも機械が少額で小さいものである場合は機械器具設置工事として認めてもらいにくく
なったりするのが、機械器具設置工事業の建設業許可が非常に難易度が高い所以です。
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