建設業許可のうち水道施設工事業を取得したい方へ
水道施設工事とは、上水道、工業用水道等のための取水、浄水、
配水等の施設を築造する工事または公共下水道もしくは流域下水道の処理設備を
設置する工事のことをいいます。
かなりイメージしにくいですが、取水施設工事、浄水施設工事、
配水施設工事、下水処理設備工事などが具体的に挙がります。
これでもわかりにくいですし、名前からすると水道が絡むと
全て該当してくるような気がしますが、そんなことはありませんので気を付ける
必要があります。
紛らわしい他の業種としては管工事、土木一式工事
が挙げられます。
上水道等の取水、浄水、配水等の施設および下水処理場内の処理設備を
築造、設置する場合はこの水道施設工事となります。
一般の家屋やビルなどの建物施設の敷地内の上下水道の配管工事が
よくこの水道施設工事と間違えられることがあるのですが、実際は管工事
となります。
また、そういった家屋や建物の敷地外の公道下の下水道の配管工事や
下水処理場自体の敷地の造成工事は土木一式工事に該当します。
なお、農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事も水道施設工事
ではなく土木一式工事に該当します。
これらの説明でもわかるように、水道施設工事というのは基本的に浄水場、
下水処理場内での設備工事が基本になりますので、非常に事例が限定されますし、
工事件数、専門としている業者さんの数もかなり少ないですね。
欲しい資格者は?
経営業務管理責任者の条件を満たしている方が
おられるという前提があればですが、
水道施設工事業の場合は下記の資格者がいる場合、許可を取得することは可能になります。
下記の資格があれば水道施設工事業の専任技術者になることができるからです。
※ちなみに、水道施設工事業で経営業務管理責任者の条件を満たすのは、水道施設工事業を
5年以上経営していたか、水道施設工事業以外の建設業を6年以上経営していたか、
というのが基本になります。
該当する資格は
1級土木施工管理技士
2級土木施工管理技士(土木)
技術士:上下水道・総合技術監理(上下水道)
技術士:上下水道「上下水道及び工業用水道」・総合技術監理(上下水道「上下水道及び工業用水道」)
技術士:衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」)
技術士:衛生工学「廃棄物管理」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理」)
です。
これらのうち、1級管工事施工管理技士、技術士のいずれかで
あれば特定建設業許可の専任技術者になることもできます。
※元請で受注して、なおかつ下請に対して総額4000万円以上の工事を発注する場合には
特定建設業許可が必要になります。(金額は税込みです。)
また、2級土木施工管理技士ですが、土木、鋼構造物塗装、薬液注入という3種類に
分かれていますが、このうちの土木でなければ水道施設工事業の専任技術者にはなることができません。
※2級土木施工管理技士の合格証ですが、特に何も書いていなければですが、『土木』です。
鋼構造物塗装、薬液注入の場合は、カッコ書きで明記されています。
資格がない場合でも水道施設工事業の許可が取得できるのか?
上記の資格の場合と同様で、経営業務管理責任者という条件を
満たしている方がおられるという前提ですが、
基本的には10年以上の実務経験を積んでいる場合、資格の代わりとなりますので、
水道施設工事業の許可取得が可能になります。
さらに、学歴によって10年が5年や3年に短縮もされます。
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、
建築学、機械工学、都市工学または
衛生工学に関する学科を卒業されている場合、
高校であれば5年、大学であれば3年の実務経験で済むことになります。
※専門学校卒業の場合も認められています。
高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、
それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となりました。
水道施設工事業の建設業許可を取得したい人からよくある質問
Q.自社での経験を証明する場合にはどんな書類が必要ですか?
またその場合はどの程度の件数が必要ですか?
A.注文書や契約書があればいいのですが、無い場合は請求書の控えと
それに対応する入金額が分かる通帳というのが、たいていどこの都道府県でも言われることです。
どれだけの件数を揃えなければならないか、都道府県によってかなり違ってきます。
例えば、大阪府の場合は工事と工事の間隔が1年以上開かないようにする、兵庫県、奈良県は
季節あたり1件ずつ程度、京都府は1年に1件ずつ、
東京都は毎月ずっと携わっていることが分かるように、埼玉県も同様、
神奈川県、千葉県は1年に1件ずつ、となっています。
Q.他社での実務経験があるのですが、ハンコをもらえそうにありません。
どうしたらいいですか?
A.都道府県によって扱いが違います。大阪の場合は実印が基本ですので、
ハンコがないのは無理となります。
一方、東京の場合は過去に年金記録で会社に在籍していたことが分かれば、
印鑑をもらえなくても大丈夫です。
Q.水道施設工事の許可を持っている場合、他の工事が含まれていても問題ないのですか?
A.水道施設工事を請け負ったとしても、例えばついでに他の業種である、
とび土工工事や管工事なんかもついでにされるケースは当然あると思います。
ついでに他の業種の工事を請け負うことは、建設業法上なんら問題ありません。
ただし、複数工事が含まれた工事の場合、水道施設工事の内訳が一番金額が多い
というのが基本になります。
例えば、水道施設工事300万円、とび土工工事160万円、管工事150万円の
合計610万円の工事を請け負った場合、メインとしては水道施設工事と考えられますから、
合計610万円の水道施設工事を請け負ったと考えて問題ありません。
この場合は、水道施設工事業の許可が必要になり、とび土工工事や管工事の許可があっても
水道施設工事業の許可がないと建設業法違反になってしまいます。
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