建設業許可のうち消防施設工事業を取得したい方へ
消防施設工事とは火災警報設備、消火設備、避難設備もしくは
消火活動に必要な設備を設置し、または工作物に取り付ける工事のことをいいます。
具体的には、屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、
不燃性ガス、蒸発性液体または粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、
火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、
緩降機、避難橋または排煙設備の設置工事などが挙げられています。
ようは、消火、消防関係の設備を設置するものが当てはまってきますね。
上記の中で、まぎらわしいのが金属製避難はしごですが、これは火災時等にのみ使用する
組立て式のはしごであり、ビルの外壁に固定された避難階段等はこれに該当しません。
その避難階段については、建築物の一部として新築時に設置するのであれば建築一式工事、
既存の建物に後から追加設置するのであれば鋼構造物工事に該当します。
また、機械器具設置工事とも間違われやすいところがあるのですが、
機械器具設置工事には広く全ての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては
電気工事、管工事、電気通信工事、そしてこの消防施設工事
と重複するものがあるが、これらについては原則として電気工事等それぞれの
専門の工事の方に区分するものとし、これらの専門の工事のいずれにも該当しない機械器具や
複合的な機械器具の設置が機械器具設置工事に該当することになります。
欲しい資格者は?
経営業務管理責任者の条件を満たしている方が
おられるという前提があればですが、
消防施設工事業の場合は下記の資格者がいる場合、許可を取得することは可能になります。
下記の資格があれば消防施設工事業の専任技術者になることができるからです。
※ちなみに、消防施設工事業で経営業務管理責任者の条件を満たすのは、
消防施設工事業を5年以上経営していたか、消防施設工事業以外の建設業を
6年以上経営していたか、というのが基本になります。
該当する資格は
甲種消防設備士
乙種消防設備士
です。
これらの資格では特定建設業許可の専任技術者にはなれません。
※元請で受注して、なおかつ下請に対して総額4000万円以上の工事を発注する場合には
特定建設業許可が必要になります(金額は税込みです。)が、
消防設備士の場合は、資格だけで特定建設業許可を取ることができませんので、
上記の消防設備士の資格に加えて指導監督的実務経験を証明しなければ、特定建設業許可を
取得することができません。
資格がない場合でも消防施設工事業の許可が取得できるのか?
消防施設工事の場合は、他の工事業種と違って特殊な部分があります。
通常では、経営業務管理責任者という条件を
満たしている方がおられるという前提があれば、基本的には10年以上の実務経験を積んでいる場合、
資格の代わりとなりますので、許可取得が可能になります。
建設業法ではそのように決められているのですが、消防施設工事に関しては
別に消防法という法律があり、その法律で決められているのが
消防設備士でなければ、消防施設工事をやってはいけないということなんです。
都道府県によっては、この法律をもとに、消防施設工事の実務経験を認めていないという
ところがあります。
結局そうなると、消防設備士などの資格がなければ申請できない
ということになってしまいますね。
ただ、実務経験を認めている県もあります。
その場合は、他の業種と同様で10年の経験で資格者の代わりなります。
実務経験を認めている場合は、建築学、機械工学または電気工学
に関する学科を卒業されている場合、
高校であれば5年、大学であれば3年の実務経験で済むことになります。
※専門学校卒業の場合も認められています。
高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、
それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となりました。
消防施設工事業の建設業許可を取得したい人からよくある質問
Q.自社での経験を証明する場合にはどんな書類が必要ですか?
またその場合はどの程度の件数が必要ですか?
A.注文書や契約書があればいいのですが、無い場合は請求書の控えと
それに対応する入金額が分かる通帳というのが、たいていどこの都道府県でも言われることです。
どれだけの件数を揃えなければならないか、都道府県によってかなり違ってきます。
例えば、大阪府の場合は工事と工事の間隔が1年以上開かないようにする、兵庫県、奈良県は
季節あたり1件ずつ程度、京都府は1年に1件ずつ、
東京都は毎月ずっと携わっていることが分かるように、埼玉県も同様、
神奈川県、千葉県は1年に1件ずつ、となっています。
Q.他社での実務経験があるのですが、ハンコをもらえそうにありません。
どうしたらいいですか?
A.都道府県によって扱いが違います。大阪の場合は実印が基本ですので、
ハンコがないのは無理となります。
一方、東京の場合は過去に年金記録で会社に在籍していたことが分かれば、
印鑑をもらえなくても大丈夫です。
Q.消防施設工事の許可を持っている場合、他の工事が含まれていても問題ないのですか?
A.消防施設工事を請け負ったとしても、例えばついでに他の業種である、
管工事や電気工事なんかが含まれているケースは当然あると思います。
ついでに他の業種の工事を請け負うことは、建設業法上なんら問題ありません。
ただし、複数工事が含まれた工事の場合、消防施設工事の内訳が一番金額が多い
というのが基本になります。
例えば、消防施設工事300万円、管工事200万円、電気工事150万円の
合計650万円の工事を請け負った場合、メインとしては消防施設工事と考えられますから、
合計650万円の消防施設工事を請け負ったと考えて問題ありません。
この場合は、消防施設工事業の許可が必要になり、管工事や電気工事の許可があっても
消防施設工事業の許可がないと建設業法違反になってしまいます。
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